坂村真民「書は心」(2)

2007/08/23 15:36


「書は心」に収められた坂村真民先生の文章をいくつかご紹介します。

 まずは「書は心」から。

<<書は心

 わたしは華厳経の信者なので、華厳唯心偈にあるように、心がすべてであると信じている。何をするにも心が中心であり、根本でなくてはならぬ。でも、心ほどむずかしく、とらえがたいものはない。朝は善であっても、夕は悪になるかも知れぬ。それは夜明けの空のように変わりやすい。だからこそそこの心をしっかりとらえ、不動のものにしてゆかねばならぬ。書家の書より禅僧の墨蹟が尊重されるのは、心が書の中に入り込んでいるからである。ふと見た床の間の掛軸の書が、その人の一生を左右したりするのも、書のふしぎな力がなさしめるものである。わたしはそういう書を本物だとおもう。

 わたしの詩集『朴(ほお)』の中の最初の詩に「本もの」というのがある。それを挙げておこう。


  本ものには
  かならず霊気が
  たちのぼっている
  書には書の霊気が
  画には画の霊気が
  詩には詩の霊気が
  人には人の霊気が
  炎のように燃え
  泉のように湧き

  老いても衰えぬ
  白光がただよっている


 わたしもいつか、そういう書を書きたいと念じている。>>
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