「デーヴ」

2007/09/01 23:05


 この映画をどなたかにお薦めいただいたのですが、どなただったかどうしても思い出せません、ごめんなさい。米国映画「デーヴ」(アイヴァン・ライトマン監督)をレンタルで見ました。大統領と瓜二つの男が、ほんのいっとき務めるはずだった大統領の影武者をずっと演じ続ける羽目になってしまったというコメディ映画です。

 小さな職業紹介所を経営するデーヴ・コーヴィック(ゲヴィン・クライン)は時の米国大統領に爪二つ。1回限りの条件で大統領の身代わりを依頼されたデーヴでしたが、浮気中の大統領が突然、意識不明の重体となり大統領を無期限で演じることになってしまいました。デーヴは、職務を次々とこなし、国民からも親しまれ、そして、大統領のイメージを一変させます。

 圧巻は、閣議の場でデーヴが予算案をひっくり返してしまうシーン。ホームレスの子供達を支援するための予算4億6,000万ドル(だったかな?)を捻出するため、社会の常識からすると考えられない無駄な予算をその場で次々と削減して、ホームレス対策を実現してしまうのです。

 影武者大統領・デーヴが最後の演説で語るのは「政治家とは何か」。我が国では残念ながら、行政の不正を改める自浄作用能力は行政自身にはほとんどないと言っても過言ではありません。いや、むしろ、その不正を隠そうとする、隠すことができればそれで良しと考えている、隠しきれると妄信している、それが役所・役人体質です。8月27日付やすとログ「戦場のピアニスト」でも申し上げたように、年金問題でも税金の無駄遣いでもその役所・役人体質が露呈しています。

 いま起こっている政治とカネの問題、間もなく議論が始まるテロ対策特措法の延長問題、もちろん、地方自治体が抱えている諸々の不正などについて、行政が国民、市民をいかに欺き続けているか、自浄作用をいかに持っていないかということが、神様のお導きでいずれ暴かれていくことでしょう。問題は、神だのみでは時間があまりにも掛かりすぎるということ。

 デーヴのような影武者もいいけど、役所・役人体質とは無縁な「影武者でない」リーダーがしがらみに塗れない行政改革を断行するほうがもっといいはずなのです。
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