「後期高齢者医療」と「民意」4

2008/05/08 22:23


 このログを書く前に「負担減は大嘘」と世間でも大騒ぎになってしまって残念です(笑)。

 (3)のログで、厚生労働省が「後期高齢者医療保険制度の導入で大半の人々が負担減となる」と試算し、舛添要一厚生労働大臣もそれを鵜呑みにして国民へPRしていることを振り返りました。しかし、ここへ来て、この「負担減」の試算も、ほかのあらゆる問題の時と同様、役人のごまかしではないかという見かたが浮上してきました。

 かなりのマス・メディアで既に報じられているので詳細は省略しますが、要するにこういうことです。厚生労働省の試算方式(A)によれば確かに、新制度への移行によって、課税所得ゼロの夫婦世帯の保険料は「(国民健康保険の年額保険料)4万円→(後期高齢者医療保険制度の年額保険料)2万5,000円」と減額になります。しかし、別の方式(B)では同様に「2万4,100円→2万5,000円」、(C)方式では「2万0,500円→2万5,000円」と負担増になるのです。

 厚生労働省は「一般的な傾向を見るため、対象者が一番多い方式(上記(A))で試算した」としています。ところが、これも国民を欺くための手法だったことが明らかになってきました。確かに、全国の7〜8割の自治体が上記(A)方式を採用しています。ただし、この方式を採用している自治体の96%が人口5万人以下の自治体なのです(民主党衆議院議員・山井和則氏調べ)。人口比で言うと52%にしか過ぎません。「夫が75歳以上で後期高齢者医療保険制度へ移行、妻が75歳未満で国民健康保険のまま」という世帯が相当数あることをこれに加味すると、過半数の人々が新制度導入で「負担増」となり、「国民の7〜8割が負担減との舛添大臣のPRはウソ」ということは明白です。

 厚生労働省は騒ぎが大きくなってから、見かたによってはウソがばれてから、「他の方式でも算出してみる」と言い始めました。おい!、いい加減なこと言うな。日本医師会長から「うば捨て山!」と批判されてからだと31年間、国会で可決されてからでは2年間、「いったい何のために何を」厚生労働省は「試算」してきたのか?。

 ログ(3)の写真で「負担『感』 なぜ強い?」という見出しをご覧いただくことができます。この表現には、「負担が実際に増えたかどうかは別にして、国民は負担が増えたと『感じている』」とでも言いたげな匂いがします。延長線上には「国民の理解が不足」とか「『一部の』サービスや補助金が廃止された」とかいう議論があります。しかし、実際は違います。「国民の理解不足」でも「一部」でもありません。「負担感」が強くなったのではなく、「負担」が増えたのです。

 役人や現政権与党が考えているように、国民は充分勉強しているわけではありません。しかし、「これはおかしい。負担が増えたはず」ということを直感的に悟ります。政権の座にある政治家は、充分勉強しているはずです。しかし、役人の言うことを鵜呑みにして、国民が騒ぐまでこの制度の危うさを悟れない。

 「民意」へ耳を傾けることを疎かにしている証拠です。
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