日銀官僚の大いなる「戦略」

2008/10/31 22:58


 金融政策との一体化がなければ昨晩発表された財政政策は景気回復を実現できないはずです。そういう意味で「何かが起こるかも?」という予感がして日銀の金融政策決定会合の動向を楽しみに見ていました。興味深い一日になりました。

 同会合の結果は今日の「やすとログ」で既にお伝えしましたし盛んに報道されてもいます。吉田康人は2つの点に着目しています。

 1つめは、「4対4の内訳」です。0.2%の引き下げ案に対して「政策委員8名のうち賛成4名、反対4名」という一報を聞いた時、賛否の内訳(誰が賛成して誰が反対したか?)は面白いことになっているはずという「勘」が働きました。

 でも、専門家へ直ぐ問い合わせたら「反対の4名は『現状維持』を主張したのだろう」といとも簡単に言われました。そこで、「やすとログ」でも「現状維持を主張したのが4名いたということを意味するのでしょう」と申しあげてしまいましたが、これは違っていました。「勘」のほうが正しかった(笑)。

 「『0.2%利下げ』が(総裁を含め)4名」、「『0.25%利下げ』が3名」、そして、「『現状維持』(利下げせず)が1名」と報道されています。ただし、内訳の人数だけで「誰が?」それぞれを主張したのかは公表されていません。大体の予想は付きますが、もし予想どおりなら今回の「4対4の内訳」は今後の日銀のありかたと大きく関わってくる可能性があります。

 2つめは、「政策決定のタイミング」です。こちらも今日の「やすとログ」で申しましたが、日本の株式市場が閉まる1時間前での発表となりました。海外のマーケットはそののち続々と開く、明日は土曜日なのでマーケットはお休み、日曜日もお休み。この間、専門家やジャーナリストの評価も出揃います。世論調査の結果も出るでしょう。

 そして、月曜日。日本は祝日でマーケットはまたもお休み。一方、世界のマーケットはオープン。つまり、日銀の金融政策決定後、日本の市場が本格的に開くまでに世界のマーケットは2巡するのです。このことが来週火曜日にやっとこさ開かれる日本市場にどのような影響を及ぼすのか?。

 日銀官僚の大いなる「戦略」を感じます。

 自民党の政治家だろうと民主党の政治家だろうと構いません。「日銀官僚主義」と徹底して戦ってくれる政治家が現れないと我が国は滅んでしまいます。
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