[俺は、君のためにこそ死にいく ]
2009/01/07 19:00
「単なる『戦争美化』モノだと嫌だなぁ」という薄っすらとした思いがあって暫く躊躇していたのですが、「食わず嫌いはいかん」と考え直し、見てみました。石原慎太郎制作総指揮の「俺は、君のためにこそ死ににいく」(2007年。新城卓監督)。「特攻の母」として知られる実在の女性、鳥濱トメさんの視点から、先の戦争で特攻隊員として知閲飛行場(鹿児島県)を飛び立っていった若者達の青春模様を綴った作品です。
劇場公開と相前後してこの映画が「戦争美化」かどうかで随分議論があったようですね。吉田康人の個人的な感想ですが、冷静に見てみると、当時の人々の動きや心情がごく自然に描かれていて、むしろ、「国粋主義的右翼」のみなさんにとっては物足りない(笑)映画だったのではないでしょうか?。この自然さに好感を持てました。
「戦争美化」と言い切れないことは、まずもって、この映画のタイトルに表れています。1つは、映画の中で台詞としても出てきますが、何のためでもない「君のため」という言葉遣い。いま1つは、「戦いにいく」でもなく「殺しにいく」でもなく、「犬死に」だったかどうかは議論のあるところですが、「死にいく」という言葉遣い。詳細はこの映画をご覧になったうえでご確認いただくのが良いと思います。
ちょうど今、「明治維新と東洋の解放」(葦津珍彦著)という書物に20年ぶりに目を通しています。その中にこんな一節があります。「強慾なる征服主義も、時に猛勇を出すことはある。しかし神風の武勇はそれとは全く質を異にする。それは自己犠牲の、聖なるものへの奉仕の精神のみが生み得る勇気である」。若者達の武勇が当時悪用されたとすれば、そして、現代において理解されていないとしたら、慙愧に堪えません。
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