国際社会のリーダーとなるために
2007/08/08 21:54
横綱・朝青龍の「中田ヒデはどこいっちゃったの?」事件(笑)に関する報道で一番引っ掛かったのは、「朝青龍は神経衰弱」という診断結果の第一報を受けての精神科医・香山リカ氏のコメントです。
8月6日付「産経新聞」朝刊で香山氏いわく「今回の重い処分や厳しい批判を受けた反応性のうつ状態ということだろう。針のむしろでストレスが多い環境が症状を悪化させかねない、ということも理解できる」。つまり、この時点での診断結果や今後の治療方針には一定の理解を示しています。
香山氏さらにいわく「だが、この状況を招いた本人が謝罪会見もしないうちに診断結果が発表され、批判しにくい状況になるのは精神科医として複雑な気分だ」。なぜ?。むしろ、香山氏に対して「複雑な気分」になる人のほうが多いのではないでしょうか?。患者の精神状態に責任を持ち、どちらかと言うとそれを守らねばならない立場の精神科医は、診断結果発表のタイミングを「謝罪会見の後先」を踏まえて判断しなければならないのでしょうか?。
香山氏は最後に言う。「診断が隠れみの的に利用されるようなことはあってほしくない」。診断結果に疑義があるなら、はっきりそう言って、精神科医どうしの論争をぜひ挑むべきでしょう。しかし、「会見できる状態ではない」という診断が下されたのにこれを「隠れみの的に利用してはならない」と断罪されるほど、横綱が病に強い立場であらねばならないという理屈はどうも理解しがたいのです。これが人々の最も繊細な部分に光を当てる(と吉田康人は信じているのですが・・)精神科医の言葉なら、なおのこと理解しがたい。
奇しくも同日、この新聞紙上で、東京都知事・石原慎太郎氏がコラム「日本よ」で「文明の衝突」を取り上げ朝青龍問題を論じています。「日本人の民族的情念」と「一時滞在の外国人」とが「衝突」しているというのが石原知事の結論です。
しかし、「白人支配」と「有色人種・日本人」との「衝突」が引き金となり「多くの植民地は解放され今日の国連なるものを形成する世界体制が出来上がりもした」と日本民族による過去の侵略をあからさまに肯定、応援する立場に回る石原知事が、朝青龍問題では「日本人の民族的情念」を応援するのか?「一時滞在の外国人」を応援するのか?、全く明確でありません。
精神科医という自らのステータスを「隠れみの」にしながら実は、「患者を守る」という精神科医としてのあるべき姿を放棄して、朝青龍批判論を展開しようとする香山氏。一横綱のサボタージュ事件を「文明の衝突」にこじつけ、日本人の情念をこの際美化しようとする石原知事。大多数の国民がこれらに違和感を感じず、むしろ、シンパシーを感じているとするなら、そして、朝青龍に対する批判的な国民感情が彼が外国人であることと結び付いているとするなら、我が国国民はもはや、白人支配に戦いを挑んだ頃の魂を忘れ去り、逆に、自らが正しいことを疑わず世界を侵略し続けた頃の白人と同じレベルの民族になり下がってしまったのではないか?。
43歳の誕生日を迎えた今日、いつものように考えすぎなのかもしれませんが(笑)、弁天さんの花火の音を聞きながらそんなことを心配しています。
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